(Q) | 里山ネットワーク世屋の設立から現在までの歩みについて説明していただけますか。 |
(A) |
世屋地域は、畑・下世屋・上世屋・木子・松尾といった5つの集落から構成されています。少子高齢・過疎問題が深刻化してきて、地域の活性化をを図りたいとという思いから、地域の住民、出身者、企業、研究者等、長年にわたり世屋に関わって来た人々がネットワークを組んで、平成15年に設立しました。
世屋には、無農薬米の栽培を契約して来た醸造企業やブナ林などの研究者、農業体験グループやペンションなどの人たちが多く関わっており、団体としての活動の土台があった。
活動拠点となる施設を確保しようと、上世屋の使われていない家屋を借りて、5年前から改修を始めました。
(事務局長の磯田さんは、事務局で活動して2年目。)
奈良出身で、京都の大学在籍中に、丹後に魅せられて、3年前に地球デザインスクールで働き、2年前に「里山ネットワーク世屋」の専任事務局として採用されました。
今は、海沿いの地域に住み、世屋まで通っています。 |
(Q) | 現在の活動状況はいかがですか。 |
(A) |
世屋で受け継がれてきた自然環境や文化、伝統を後世に引き継ぐことを目的として、「地域資源の発掘と伝承」、「里地里山の保全と再生」、「地域を担う人材の育成と支援」の3つの柱で活動しています。
設立5年目の今年は、活動拠点である古民家の整備も進んできたことから、地域紹介や物品販売など地域拠点としての充実を目指します。
また、里山案内人の養成に向けて、ガイドに関心のある人を募集しています。
棚田の保全と再生のためのプログラム「棚田で米づくり」で、無農薬の米を作っていますが、基本的に日帰りのプログラムで、京阪神からというより、丹後の人に世屋を知ってほしいと考えています。
農家さんとの共同事業として農薬不使用米の販売なども行います。 |
(Q) | 青年の参加状況はいかがですか。 |
(A) |
NPOの役員は、大人の方々で、青年層はいません。(磯田事務局長は青年です。)
米づくりプログラムには、学生が関わってきていますし、京都大学や府立大学から研究生が来ています。
また、泊まりがけでインターンシップの受入を行っています。(訪問した日も、京都学園大学生が1名泊まっていました。) |
(Q) | 民家を改修された事務所は、とても素敵ですね。 |
(A) |
この事務所は、活動拠点施設を作ろうと、メンバーの手によって古民家を改修してきたもので、活動する際の集会所であり、休憩所となっています。愛称を「ぶー丹」(ぶーたん)と名付けていますが、ブナ林と丹後をかけたのと、自然を大切にした暮らしがなされるブータン王国ともかけて付けられました。 |
(Q) | 最近の話題として、イベントを開催されるようですが。 |
(A) |
世屋地区の民家解体、再生作業に関わってきたことで、建築や森林の面から研究されている団体との共催で、8月23日には、「民家が語る里山の価値」と題したシンポジウムを開催します。
また、世屋を含む宮津市内を舞台とした映画「天国はまだ遠く」(主演:加藤ローサ、徳井義実(チュートリアル)、原作:瀬尾まい子、監督・脚本:長澤雅彦)が、全国で11月から公開される。昨年の秋、宮津・天橋立をロケ地として撮影され、全国に先駆けて、10月18日、19日に宮津で上映されます。18日には、監督や加藤ローサの舞台挨拶もあるので、ぜひ前売り券をお買いになってください。
世屋の美しい里山の景色や天橋立の他、宮津市内の各地が見られると思います。
(映画公式サイト http://www.tenmada.com/) |
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| (今回の訪問を終えて) |
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夏の日差しがまだ残る夕方。与謝の海病院の近くで待ち合わせして、国道178号を伊根方面に進み、日置交差点から山奥へ車を走らせ、道なりに進むと、棚田が広がる上世屋の集落に着きます。バス停のすぐ隣りに、当NPOの上世屋事務所「ぶー丹」がありました。
磯田事務局長には、日が暮れる前に、上世屋の集落内を一回り案内していただきました。棚田の美しい風景は、まさしく日本という感じです。これから、稲刈りのシーズンで、当団体でも、稲作体験プログラムを実施されるそうです。
ゆめっと京都で、当NPOとの共催で、事務所「ぶー丹」をお借りした宿泊プログラムができそうです。
今回の訪問をきっかけにして、丹後地方のネットワークを作っていければいいのではないかと思います。 |