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活動交流事業「青少年団体を訪ねて」
  平成20年度、ゆめっと京都は、府内で活躍する青少年団体・グループを訪問し、活動内容や夢や悩みを取材し、その結果を基にして、各地域での活動報告会を開催することにより、青少年団体・グループを支援しようと考えています。
  青少年団体・グループの訪問取材の第9弾は野殿童仙房生涯学習推進委員会を取材しました。
  第9回 野殿童仙房生涯学習推進委員会
    訪問者  仲副代表
    対応者  内藤浩哉(事務局)、前平泰志京都大学大学院教育学研究科教授、
            安川由貴子助教


今回の訪問の趣旨

  ゆめっと京都が平成13年度ゆめっと青年塾の体験講座で、南山城村の童仙房で交流を持ったことがあり、お世話になったのが内藤浩哉さんでした。今回「野殿童仙房生涯学習推進委員会」の設立から関わっておられる内藤さんにお願いし、1泊2日で開催される京都大学大学院の教育学研究科が企画した事業に参加させていただきました。

団体の設立まで

野殿は、古い歴史を持ち、柳生藩家老職を務めた野殿氏が代々住み、役人や代官の往来も盛んだった地域で、現在では、過疎化が進んでいます。童仙房は、明治に京都府が開拓した地域で、今も開拓の気風が残り、Iターンで移り住んだ者を受け入れる土地柄です。
両地区の小学生が通う「野殿童仙房小学校」が平成18年3月末で統合によって廃校となることが決まり、地域としての危機感を持った住民が、京都大学大学院教育学研究科の前平教授へ相談に赴かれました。京都大学も丁度フィールドを探していたことから、トントン拍子に話が進み、3月に、京都大学が童仙房へ来られて、地元の方々との顔合わせが行われ、地域が主体となったプロジェクトがスタートしました。
同年4月から野殿区・童仙房区が自主的な取り組みとして、京都大学大学院教育学研究科と連携していく形が調整され、同年6月に「野殿童仙房生涯学習推進委員会」が発足し、旧野殿童仙房小学校を拠点としながら、新しい教育空間を作ることを目指して活動を始めました。体育館での地域と大学との協定調印式は、予算ゼロ、手作りで実施されました。

これまでの経過

平成18年度から、畑を作って、種まきから収穫までを体験し、農作物が育っていく驚きといのちを育てる労働の喜びを、おとなだけでなく子どもたちにも知ってもらい、この経験を次世代の子どもたちに伝えてほしいと願って、「昔子どもだったおとなと今のこどもと未来の子どものための農業体験」を始めました。畑作りは、今年で3年目です。初めからはうまくいかないが、うねうねと曲がりながらもやっていこうと、名称は「うねうね」と変えました。野菜作りを通じて、身近な食生活に親しんでもらうことを目的に企画しており、秋には収穫した野菜と地元のおいしいお米で、みんなで食事会をすることを楽しみにしています。
地元の住民や、学生、研究者が集まり、新しい学びの場つくりについて語り合うセミナーやシンポジウムを開催したり、小学校前広場での「風と雲の市」(現在は、「風と雲の広場」)では、地域通貨を使ったフリーマーケット、ミニコンサート、講座などを開催しています。
広報誌「風と雲の便り」を年4回発行しており、3号以降は研究室の院生が編集を任せられるようになりました。

活動の広がり

当地域は、平成18年以降、様々な団体が関わるようになりました。
アルファコープ(現:生活クラブ生協大阪)が、京都大学と同じ平成18年から、この地域に来られるようになり、当団体が作っている畑の少し離れたところに、同じように畑を作られて、子ども連れで、野菜を栽培されています。また、春と秋には、旧小学校に泊まって、2泊3日の「秋のがっこう」、「はるのがっこう」を始められました。
アルファコープの「がっこうの森をつくり隊」という活動が始まり、森の中にこどもたちのプレイパークを作ろうとされています。ハンモックやブランコを作り、藪の中にはトイレが作られました。アルファコープのリーダーの発起により、大学生が主体となったcloverが立ち上がり、子ども達のキャンプが実施されています。
また、生涯学習とは別ですが、森の下流には、京都府のモデルフォレスト事業として、積水化学工業と地域住民が森林保全活動を始めています。
(Q) 団体のセールスポイントは何ですか。
(A)  従来は、大学が地域貢献や地域連携というとき、実際には大学と行政の連携がほとんどであり、地域と直接協定を結んだというのは、きわめて珍しいケースです。ここでは、地域が主体となって、行政に頼らずに、大学と直接協定を結び、活動を進めています。
旧小学校施設の利用はだんだん増えており、利用者がていねいに掃除していただくので、子ども達が通っていた頃によりきれいではないかと思うくらいになっています。
(Q) これからの夢、ビジョンについて語ってください。
(A)  大学と地域による新しい学びの場つくりは、まだ3年目ですが、活動に関心を持ってくださる方々が増えてきており、様々な関わり、交流が生まれています。
3月に、地域住民の方々と大学の教員・院生とが一緒にこれまでの活動を振り返り、今後の活動について考える機会を持ちました。さらに様々な活動が展開されていくと思います。


(今回の訪問を終えて)

今回参加させていただいたプログラムは、京都大学大学院教育学研究科提供のEXラボ企画「経験知と学知の境界線を超えて」という事業で、フィールドに出て、地域に生きる人々と接し、地域の成り立ちや生き方について考えるというものでした。
参加した院生たちと一緒に、地域の活動について説明を受け、地域内を案内していただきました。夕食は小学校の運動場で、一緒にバーベキュー交流会に参加しました。28日は、内藤さんが関わっている仙の森や不動の滝へ案内していただきました。
学びの場つくりを始められた地域ですので、今後も何らかの関わりを続けていければと思います。森林保全活動や、不動の滝下り、旧小学校の施設利用など、青少年活動のフィールドとして使わせていただきたいと思いました。
    取材日時    平成20年9月27日(土)12時から19時まで
    取材場所    旧 野殿童仙房小学校(相楽郡南山城村童仙房)

    団体名    野殿童仙房生涯学習推進委員会
    会  長    中村 富士雄(野殿区長)
    副会長    西村 秀俊(童仙房区長)
    事業内容  南山城村の野殿区・童仙房区と、京都大学大学院教育学研究科が
              連携して、新しい学びの場つくりを進めている。
    URL       http://souraku.net/manabi/