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(Q) |
フリースタイルな僧侶たちの設立から現在までの歩みについて説明していただけますか。 |
(A) |
設立は、2009年8月。当時から知恩院に奉職していました。実家がお寺だったのですが、檀家には高齢の方が多く、若い人に仏教という文化が伝わっていかないことに悩んでいました。若い人に仏教に向き合ってほしいという共通の意識を持っている人に呼びかけて、宗派を超えて、連帯できればという思いから、僧侶の他にフリーライターやカメラマンが集まり、「フリースタイルな僧侶たち」が発足しました。
インターネット上でのWEB公開でもいいけど、きちんとした形にしたいという思いから、発足と同時にフリーペーパーを発行しました。そして、バーやカフェなど若者が立ち寄る場所に、フリーペーパーを置いてもらえるように、一軒ずつお願いにうかがいました。フリーペーパーは、広告が大きく占めるような紙面にはしたくなかったので、サポーター会費として協賛金をいただく方針にしています。
また、仏教をテーマにしたトークイベントを京都市内を中心に月1回開催してきました。フリーペーパーを手に取ってくれた若者に、仏教の魅力を伝える場を設けるためです。
協賛金は最初はわずか3件で、収支が厳しい時期がもありましたが、今では評価していただけるようになり、協賛金で印刷経費を賄えるようになりました。 |
(Q) |
現在の活動を教えてください。 |
(A) |
現在、30人くらいのメンバーがいます。そのうち、編集チームは10名くらいです。フリーペーパーは2ヶ月に1回、偶数月の1日に発行しています。今年2月に発行して、第10号になりました。フリーペーパーを置いていただく店も増えて来て、少しずつ手応えがあるようになり、人の輪が広がってきました。発行部数もいまでは1万部まで増えました。今後も充実させていきたいと思います。表紙のイラストは、8号から現在まで、香港の方に書いていただいています。まだお会いしたことがない方ですが、先方からぜひ協力させてほしいと申し出があったのです。
イベントは様々な形で開催していますが、基本的に発案者が責任を持って実施するシステムを取っています。フリーペーパーには、当団体が主催するイベントの他に、関連団体が開催する仏教に触れるイベントも紹介しています。
2010年9月には、フリスタ1周年記念トークライブを、日蓮宗法華寺の杉若恵亮住職が「つきいちボンサンと語ろう会」を開催しているTHE BONZEクラブ「堀北庵」で開催し、発足からの1年を振り返りました。
11月からは、「お坊さんと気軽に話す時間があれば、きっと世の中も明るくなるはず」と仏教に期待を寄せる、タイ料理レストラン「佛沙羅館」オーナーの宇野克子さんの御好意により、「カレーと仏教を味わう会」を毎月開催しています。
12月には、町家を改装されたモコモコカフェというお店で、杉若恵亮住職の御指導のもと、「朝一坐禅」が開催されました。2月20日には第3回目が開催される予定です。
また、2月24日には、親鸞聖人が比叡山から六角堂まで100日間参籠された足跡をたどり、追体験するイベントが実施されます。
いま、若者は仏教に興味を持っていると思いますが、敷居が高いと思われています。そのような人が参加しやすくするために、様々な人の力を借りて、切り口を変えながら多様な試みをしています。 |
(Q) |
これからの夢、ビジョンについて語ってください。 |
(A) |
現在の活動は、京都、大阪が中心となっていますが、もっと広がりを持たせていきたいと思います。お寺の先行きを不安に思うお坊さんは少なくありませんが、一方で世の中は宗教的なものを求めています。精神的な悩みを抱えて自己啓発セミナーに行く人もいます。仏教が心のよりどころとして見直される可能性は大いにあると思います。
私たちは、若者たちと一緒に語って行きたいと考えています。仏教を気軽に触れる機会をもってほしいと思います。若い人に参加していただき、膝と膝を突き合わせて、語りあいたいと思います。 |
(Q) |
課題・悩みはありますか。 |
(A) |
フリーペーパーを読むぐらいの元気がある人には、私たちの手法は有効かもしれません。しかし、フリーペーパーを手にとって読むほど余裕のない人に、どうやったら私たちの思いを伝えられるか。これまでの仏教では、檀家制度があり、毎月、お寺さんが檀家を回っていました。今後も、お互いに顔を見て関係を作っていく習慣づけが必要だと思います。 |
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| (今回の訪問を終えて) |
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お寺ばなれを危惧する池口さんたちが、フリーマガジンやWEBサイト制作とトークライブといったイベントを通じて、仏教の魅力を若い人に伝えたいという熱い思いが強く伝わってきました。新聞でもよく掲載されるようになった、最近注目の青年グループです。「朝一坐禅」を実施されるモコモコカフェは、以前から私がお気に入りの店だったので、坐禅会場となっていることに驚きました。
WEBサイトを見ていただけると、フリースタイルな僧侶たちの活動がよく理解できると思います。フリーペーパーも電子書籍として御覧いただけます。 |